雪が雨へと変わり、大地がゆっくり潤い始めるころ、二十四節気ではこの時期を「雨水」と呼びます。
雨水のころは、雪が雨へと変わり、土の中や空気の気配にも少しずつ春のゆるみが混ざりはじめる時期です。
ただ、春に向かっているように見えても、体の内側にはまだ冬の冷えや重さが残っていることも少なくありません。
この時期の薬養生では、無理に強く動かすのではなく、水の巡りをやさしく助けながら、ためこみを防いでいくことが大切です。
今回は、そんな雨水の時期に取り入れやすい、焙煎ハトムギ茶、ウーロン茶、あずき茶の3つをご紹介します。
雨水の薬養生とは

雨水に、どんなお茶を選ぶか
雨水は、冬の閉じた状態から少しずつゆるみが生まれ、体も春へ向かう準備を始める頃です。
けれど体の内側には、まだ冬の冷えや重さ、巡りきらない水分が残っていることも少なくありません。
雨水の薬養生は、春に向かって無理に動き出すことではなく、水の巡りをやさしく整えながら、ためこまない体へ切り替えていく養生です。
雨水は「水が動き始める」季節
雨水という名前のとおり、この時期は雪が解けて雨になり、水の気配が少しずつ表に出てきます。
自然界で水がゆるみはじめるように、体の中でも冬のあいだに滞っていたものが動きやすくなっていきます。
雨水は、春本番の前に「巡りの準備を始める」ための節気として考えるとわかりやすい時期です。
体の中でも水の巡りが変わる
冬の間にためこみやすかった余分な水分は、気温や湿度の変化とともに少しずつ動きはじめます。
けれど、その動きが弱いと、重だるさやむくみ、頭の重さ、すっきりしない感覚として表に出ることもあります。
雨水の不調は、強い症状というより、「なんとなく重い」「なんとなく巡らない」という形で現れやすいのも特徴です。
雨水のお茶選びの考え方
雨水は、冬の閉じた流れが少しずつゆるみ、体の中でも「水」が動きはじめる時期です。
けれど、この時期に大切なのは、春らしく一気に軽くしようとすることではありません。
お茶は、体を急に変えるためのものではなく、日々の中でそっと巡りを整えてくれる存在です。
雨水のお茶選びでも、ためこませず、重くしすぎず、やさしく流していくことをいちばんに考えます。
雨水は「巡らせる準備」を始める時期
雨水を迎える頃、自然界では雪が解け、雨となって水の気配が表に出てきます。
体の中でも同じように、冬のあいだに滞っていた水分や湿が少しずつ動きやすくなっていきます。
でも、この動きはまだとても繊細です。
ここで強く発散させたり、無理に動かしすぎたりすると、かえって重だるさや疲れにつながることもあります。
雨水の養生では、「一気に出す」のではなく、「少しずつ巡る状態をつくる」ことが大切です。
「巡らせる・ためこまない・重くしない」が基本
雨水のお茶選びでは、「何を補うか」よりも、「余分なものをどう巡らせるか」という視点が役立ちます。
冬の間にたまりやすかった湿や水分の偏りをそのままにしておくと、春先のむくみや重だるさ、不調につながりやすくなります。
だからといって、強く流す必要はありません。
雨水のお茶選びでは、
- 巡りをやさしく助ける
- ためこみにくい状態をつくる
- 体を重くしすぎない
この3つを意識するだけで十分です。
少しずつ流れが生まれることで、春に向かう体も自然に軽やかさを取り戻していきます。
雨水のお茶は“軽く巡らせて、冷やしすぎない”がポイント
雨水は、春に近づく時期とはいえ、朝晩はまだ冷えを感じやすく、体の内側にも冬の名残が残っています。
そのため、さっぱりしすぎるものや冷やしすぎるものを選ぶと、巡りを助けるどころか、かえって動きが鈍ることもあります。
目安は、飲んだあとに体がふっと軽くなるか、でも冷えは残らないかどうかです。
香りがあり、軽やかさがあって、なおかつ体に負担をかけないお茶が、雨水の体にはちょうどいい選択です。
雨水の養生では、
- 湿をほどく
- 気を巡らせる
- 水を流す
この三つの流れを整えていきます。
体にたまりやすい重さを軽くしながら、巡りをゆるやかに動かすことが、この時期のお茶選びのポイントです。
ここから先では、この考え方をベースに、雨水の時期におすすめした3つのお茶をご紹介していきます。
体に溜まりやすい湿をやさしくほどくお茶

体に溜まりやすい湿をやさしくほどくお茶
雨水のころ、体がなんとなく重く感じる日はありませんか。そんなときに取り入れたいのが、余分な湿をやさしくほどくお茶です。
雨水の時期にまず意識したいのは、冬のあいだにためこみやすかった湿を重くしすぎないことです。
この時期の「なんとなく重い」は、ただ疲れているというより、水分代謝の偏りが関係していることもあります。
冬のあいだ、体は冷えやすく、巡りもゆっくりになります。
そのため余分な水分が体の中に残りやすく、春に向かうこの時期に重さとして表に出ることがあります。
雨水に湿がたまりやすい理由

焙煎ハトムギで体に溜まりやすい湿をやさしくほどく
雨水のころは、雪が雨に変わり、空気にも地面にも水分の気配が増えてきます。自然界で水がゆるみ始めるように、体の中でも冬のあいだに滞っていた水分が少しずつ動き始める時期です。
ただ、この動きはまだとてもゆっくりです。冬の冷えや巡りの弱さが残っていると、水分の代謝が追いつかず、体の中に湿としてとどまりやすくなります。
その結果、体の重だるさやむくみ、頭の重さ、なんとなくすっきりしない感覚として現れることがあります。雨水の不調は、はっきりした症状よりも「なんとなく重い」という形で出やすいのが特徴です。
重だるさやむくみを感じるときに

焙煎ハトムギ
朝起きてもすっきりしない日や、なんとなく体が重く感じる日は、湿が残っているサインかもしれません。
顔や脚のむくみ、頭の重さ、やる気の出にくさなども、雨水らしい不調として現れやすいです。
そんな日は、負担なく飲めて、ためこみをやさしくほどいてくれるお茶が向いています。
おすすめのお茶とアレンジ

焙煎ハトムギ+陳皮
こんなときに取り入れたいのが、体にたまりやすい湿をやさしくさばいてくれるお茶です。強く流すのではなく、軽く巡らせながら重さをほどくようなものが、雨水の体には合っています。
おすすめのお茶
- 焙煎ハトムギ茶
余分な湿をやさしくさばきながら、体の重さを軽くしたい日に取り入れやすい穀物茶です。
香ばしさがあって飲みやすく、雨の日やどんよりした朝にも合わせやすいのが魅力です。
そこに陳皮をひとつまみ加えると、巡りの弱さにもやさしく働きかけてくれます。湿をさばくだけでなく、停滞した気の流れを少しずつ動かしてくれる組み合わせです。
飲むタイミング
- 朝から昼にかけて
- 体が重い日
- 雨の日の重だるさを感じる日
朝の一杯として飲むと、体の巡りをゆるやかに目覚めさせてくれます。
選び方のヒント
むくみや重だるさが気になる日は、まずは焙煎ハトムギ茶を。
体の冷えや巡りの弱さも感じる日は、陳皮を少し加えると、温めながら動かす感覚が加わります。
おすすめの焙煎ハトムギはこちら
- 国産
- 香ばしくて、そのままおやつにも
気を巡らせ滞りをほどくお茶

気を巡らせて滞りをほどくお茶
体の重さだけでなく、気分のつかえや胃の重さを感じるときは、気の巡りがゆっくりになっているサインかもしれません。
雨水のころは、水の動きと一緒に気の流れも少しずつ変わりはじめます。
その変化についていけないと、気分のもたつきや胃のつかえのような感覚が出ることがあります。
雨水に気の滞りが出やすい理由

ゆっくり茶葉が開くのを待って
雨水のころは、体の中で水の巡りが動き始めると同時に、気の流れにも変化が出やすい時期です。
冬のあいだは体が閉じるような状態になるため、巡りがゆっくりになります。その流れが急に変わり始めると、体の中で滞りのような感覚が出ることがあります。
なんとなく胃が重い、気分がすっきりしない、胸のあたりがつかえるように感じるなど、はっきりした不調ではないけれど巡りの鈍さを感じることも少なくありません。
胃のもたれや気分のつかえを感じるときに

ウーロン茶
食後に胃が重い、気持ちが少し停滞しているような感覚があるときは、体の中で気の巡りがゆっくりになっているサインかもしれません。
こうしたときは、体を強く動かすよりも、巡りのきっかけをそっと作るようなお茶が向いています。
香りのあるお茶や軽く発酵したお茶は、体を刺激しすぎずに流れを整える助けになります。
おすすめのお茶とアレンジ

ウーロン茶+陳皮
雨水の時期に取り入れやすいのがウーロン茶です。発酵茶ならではの軽やかさがあり、体の巡りをやさしく整えたいときに向いています。
おすすめのお茶
- ウーロン茶
重すぎず軽すぎない性質で、雨水の時期の「巡り始めた体」にちょうどよいお茶です。
そこに陳皮をひとつまみ加えると、香りの力で気の流れをさらに助けてくれます。胃のつかえや気分の停滞を感じるときにも取り入れやすい組み合わせです。
飲むタイミング
- 食後
- 日中のリフレッシュしたい時間
胃が重いと感じるときや、気持ちを切り替えたいときに向いています。
選び方のヒント
食事のあとに軽く整えたいときはウーロン茶をそのままで。
巡りの停滞を感じる日は、陳皮を少し加えると香りとともに流れがゆるやかに動きやすくなります。
おすすめのウーロン茶はこちら
- 台湾烏龍茶
- 香り良い
余分な水を流し冷えを残さないお茶

余分な水を流し冷えを残さないお茶
むくみや体の重さが続く日は、体の中で水の巡りが滞っている可能性があります。そんなときは、水の流れをやさしく助けるお茶を取り入れてみましょう。
雨水は“水”の節気でもあるため、余分な水分を抱えたままにしないことも養生の大切な柱です。
ただし、流すことばかりを優先すると冷えやすくなるので、冷えを残さずに動かす視点が必要です。
雨水に水の停滞が起こりやすい理由

あずき茶
雨水のころは、自然界でも水の動きが大きく変わる時期です。雪が解けて雨になり、土の中の水分も少しずつ動き始めます。
体の中でも同じように、冬のあいだにとどまりやすかった水分がゆっくりと巡り始めます。しかし巡りが弱いと、水がうまく動かず停滞として残ることがあります。
その結果、むくみや体の重さ、なんとなく抜けないだるさとして感じることがあります。雨水のころに感じる重さは、水の巡りがまだ整いきっていないサインともいえます。
むくみや体の重さを感じるときに

5分じっくり待って
朝起きたときに顔がむくみやすい日や、雨の日に体が重く感じる日はありませんか。
こうした感覚は、体の中で水の流れがゆっくりになっているときに出やすいものです。
そんなときは無理に発散させるよりも、体を温めながら水の巡りを助けるお茶を取り入れると、少しずつ軽さを取り戻しやすくなります。
おすすめのお茶とアレンジ

あずき茶+陳皮
雨水の時期に取り入れやすいのが、あずき茶です。体に余分にたまりやすい水分の巡りをやさしく助けながら、重さをほどきたいときに向いています。
おすすめのお茶
- あずき茶
余分な水を流しながら、体の重さをやさしく整えたい日に取り入れやすいお茶です。
そこに陳皮を少し加えると、巡りを助けながら体を冷やしすぎないバランスのよい一杯になります。流すだけでなく、動かす働きも加わる組み合わせです。
飲むタイミング
- 朝
- 雨の日の体が重く感じる時間
むくみを感じやすい日や、体の巡りを整えたい日に向いています。
選び方のヒント
水の停滞によるむくみを感じる日は、まずはあずき茶をそのままで
巡りの弱さや冷えも感じる日は、陳皮を少し加えると体を温めながら整えやすくなります。
おすすめのあずき茶はこちら
- 国産
- 飲みやすい
雨水の薬養生は「軽く巡らせる」がちょうどいい
雨水の養生では、強く整えすぎるよりも、少しずつ巡りを助けるくらいがちょうどよいこともあります。
冬の重さを急いで手放そうとせず、体の変化に合わせてゆるやかに整えていくことが、春への土台になります。
一気に動かそうとしない
春が近づくと、何かを始めたくなったり、体も軽くしなければと思ったりしやすいものです。
けれど雨水の段階では、まだ急な変化に体が追いつかないこともあります。
だからこそ、この時期は“少し軽くする”“少し巡らせる”くらいの意識がちょうどいいのです。
その日の体調でお茶を選ぶ
体が重い日は焙煎ハトムギ茶、気分や胃の滞りが気になる日はウーロン茶、雨の日の重だるさにはあずき茶、というように選び分けることができます。
毎日同じお茶を飲むよりも、その日の感覚に合わせて少し変えるほうが、季節の養生としては自然です。
お茶を選ぶ時間そのものが、自分の体調に目を向ける習慣にもなっていきます。
まとめ|雨水は、水の巡りを整える時間
雨水は、春のはじまりに向けて、体の中の水や巡りをやさしく整えていく時期です。
まだ冬の重さが残るからこそ、ためこまないこと、冷やしすぎないこと、軽く巡らせることが養生の軸になります。
体の巡りもゆっくり整えていく
季節が一気に変わらないように、体の変化もまた、ゆっくりで大丈夫です。
雨水のお茶は、そんな移り変わりの途中にそっと寄り添ってくれる存在です。
その日の自分に合う一杯を選びながら、春へ向かう体を静かに整えていきましょう。
雨水は、水の巡りがゆっくり動き始める季節。体の中でも同じように、滞っていたものが少しずつ流れ始めます。
焦らず、やさしく巡らせること。それが春を軽やかに迎える準備になります。
